2009年度高校入試の総括と2010年度の展望
2009/07/16
公立高校の動向
二〇〇九年度の入試に関して、まず東京都では、都立高校(全日制)の一般入試の実質倍率が二〇〇八年度を0・05ポイント上回る1・38倍となりました。推薦入試は6年ぶりに実質倍率が上がり2・93倍を記録しました。昨今の厳しい経済状況も影響し、募集人員を下回る学校も二〇〇八年度の半数近くまで減りました。少子化に伴い募集人員が減少される中、応募人数は減ることがなく、厳しさを増す学校が増えています。
埼玉県では、二〇一〇年度の大幅な入試改革に向け、二〇〇九年度は大きな変動はありませんでした。二〇一〇年度より始まる新しい埼玉県立の入試は、前期が私立一般入試後の2月16日に日程変更になり、学力試験を行う一般入試に近い形になるようです。とはいえ、内申点もまた重要な評価基準となるため、各校の配分を調べる必要があります。各校の情報は埼玉県教育局のホームページに掲載されているので、自身の過去の内申点を把握し、入試の準備をしましょう。
私立高校の動向
私学の中高一貫教育化は年々増す一方で、二〇〇九年度も東京農大第三と日大藤沢が新たに中学校を新設しました。中高一貫校の定着により、高校入試での募集人員を削減する学校もあり、二〇一〇年度は東京都市大付属(前武蔵大付属)が高校募集を停止します。3年前の浦和明の星、2年前の吉祥女子の募集停止が女子受験生に大きな影響を与えました。そのような背景のもと、それぞれの私立高校が進学実績やカリキュラム、校風等、他校との差別化や独自性をアピールするようになりました。
中でも特進コースや選抜コースといった進学に特化したコースも増えており、正規の授業時間に加え7・8時間目に特別補講やサテライト授業を設ける、また夏期・冬期といった長期休暇時に補習を組み込む等、多くの私立が進路指導にさらに力を注ぐようになりました。 特進クラスをさらに細分化し、文系特進の中に「特進文理」「特進英語」、理系の中に「医歯薬系」「国立理系」等、進路に合わせたコースの設置が各校で目立っています。西武文理の「エリート選抜東大クラス」や開智の「S類(3年間一貫型東大受験カリキュラム)」のように受験生や保護者にアピールする名称をつけたクラスも注目を集めています。 中堅上位の進学校では高校2年次以降で目標校を設定したクラス分けをするところも多く、将来の進路設定の重大な中継地点としての高校選びが行われるようになってきました。
総 括
公立・私立共に二〇〇九年度も上位校の人気は変わりなく、ハイレベルな入試状況となりました。特に、早慶大付属を中心に、MARCHや日大等の大学附属校の人気は微減となった学校もありましたが、入試レベルは概ね高水準となりました。早大本庄では東京会場だけでなく、本庄での受験も可能なため、埼玉県北部や群馬・栃木方面からも受験者が集まり、数年前に共学化した今も応募者は増加傾向にあります。慶應志木1次では慶應大学三田キャンパスでの受験も実施しており、2次試験が早大学院と重なるものの、二〇〇九年度も高い水準が維持されました。
インターネットの普及により、全国各地から学校の情報を手軽に入手できるようになったため、全国的に知名度の高い学校は応募者も多くの数が集まっています。これら上位校の人気に伴い、中堅校の特進クラスの設置や特待制度等が充実したため、受験生にとって第一志望はもちろんのこと、第二志望以降の併願パターンの組み方が重要となります。事前に校風や教育方針を調べ、受験機会を増やすことで、後々の高校生活を充実させることができるでしょう。
また、学校選びの条件の一つとして挙がりやすい、共学・男子校・女子校についてですが、近年は男子校や女子校が共学に移行するケースも増えてきました。総合大学の付属校である明大明治・法政大学が二〇〇八年度校地を移転して共学化した際に高倍率を記録したのが印象的でした。共学化に伴い、新校舎や新しい制服等で学校のイメージが変わり、受験生をひきつけるケースもあります。
また、倍率という外部要因が重視されることもありますが、まずは臆することなく自分自身の学力を高める努力をしましょう。万が一、不安に思うことがあるならば、塾の教師によく相談をし、受験校を決定してください。
受験は、数ある高校の中から自分の通う学校を決める大切な機会です。偏差値は学校を選ぶ基準として必要なものではありますが、それが全てではありません。多くの学校を知り、高校生活と将来を見据え、素晴らしい受験となるよう、下準備を念入りに行いましょう。


